デザインセクション グラフィックディレクター兼マネージャー 辻畑 孝信
デザインセクション
グラフィックディレクター兼マネージャー
辻畑 孝信
理想
ゲーム内アセットとして
形を作り、構築を行う

理想をゲーム内アセットとして
形を作り、構築を行う

まずは自己紹介と、これまでのキャリアを教えて下さい。

辻畑:昔からゲームが好きだったのと、大学では映像制作を専攻していたわけではないのですが、工業デザインを専攻しながら映像制作に興味を持ち、ゲーム業界に入りました。

コンシューマー業界では、PlayStation2やPlayStation3、XBOX360などの家庭用ゲーム機の背景デザイナーから始まり、サブグラフィックディレクターまでの8年間ほどを従事しました。その後ソーシャルゲーム業界に籍を移し、5年間ディレクションとマネジメントを学び、2017年3月ディライトワークスへ入社、というキャリアを歩んでいます。

ディライトワークスにおけるグラフィックディレクターのお仕事はどういったものでしょうか。

辻畑:『FGO』においては、TYPE-MOONさんが原作、販売元がアニプレックスさん、弊社が開発元という形になっていて、監修を行うTYPE-MOONさんの作品を一緒に表現、実現するといったことが私達の仕事です。弊社にはアートディレクターとグラフィックディレクターがおり、前者は世界観などの理想を作り上げる仕事、私が担当する後者は理想をゲーム内アセットとして形を作り、構築を行うイメージです。

チームメンバーの人数や、メンバーのバックボーンなどを教えて下さい。

辻畑:チームメンバーは80〜90人程度になります。2D/3DCG背景、サーヴァントの戦闘シーンを形作るバトルキャラクター作成がそれぞれ10〜20人程度で、他にはPMやデザイン進行管理という形でスケジュール管理などを担当する層をかなり厚くしています。

バックボーンは、2D背景はアニメ業界出身の方が多いですね。アニメ業界の方はクオリティの高い背景を作成でき、制作にもスピード感があり、更新頻度の高いスマートフォン向けのタイトルにマッチしていて活躍しています。エフェクトは映像業界の方が多いです。最近はコンシューマーで長い経験をした方も入ってきていますね。

皆さんがお使いになっているDCCツールを教えて下さい。

辻畑:2D背景はPhotoshop CC、3DCGはMayaを基本としています。キャラクターはCLIP STUDIO PAINTかSAIが多いです。『FGO』はUnityベースで開発されているため、エフェクト系はShuriken Particleで、特殊なツールを使っているということはありません。

ただ、「クリエイターの力を100%発揮して欲しい」というのが我々の想いなので、ツールの指定はありませんし、逆にタブレットなど必要なものはクリエイターの意見を聞き、使いやすいものを提供するようにしています。なお、スケジュール管理にはJIRAを用いています。

グラフィック制作においては、原作および監修元となるTYPE-MOONさんとの協業が基本となると思いますが、具体的にどのようなワークフローで制作を行っているかを教えて下さい。

辻畑:基本的には、奈須きのこさんを始めとするシナリオライターの皆様のシナリオを拝見し、そこから必要なサーヴァントやエネミーの種類、動き方を確認していきます。シナリオ上必要な要素としてどういった敵を作成する必要があるのか、モーションはどういったものになるのかなどをTYPE-MOONさんと打ち合わせて策定し、いくつかは弊社からラフを提示する形になります。

その後、TYPE-MOONさん側のご監修を経て、実際の制作へと移っていきます。TYPE-MOONさんは監修元ではありますが、一緒にものづくりをしているという感覚が非常に強いですね。細かくチェックをしてもらうというのもあるのですが、我々からも様々な提案をしつつ、より良いものになるように制作を進めています。

個人的にもTYPE-MOONさんから学ぶことがすごく多いんですよ。例えばシナリオライターの方の意向を汲み取る能力、それこそシナリオの目的や意図まで含めたディレクションをされる方が社内に常駐しており、アドバイスを頂くことも多いです。これはメンバーにとっても良い刺激になっていますね。

両社協業で、どういったグラフィックスを制作することを目標にしていますか?

辻畑:根底の部分では「面白いものを創りたい」という意識が共通しています。画としての見栄えはユーザーさんからしてみれば一番の関心どころだと思っていますが、ユーザーさんが良いと思うようなグラフィックを素直に作って行きたいと思っています。

アニメーション、エフェクトも含めて、それぞれの範囲のデザイナーの個性が活かしたものが形作られると非常に良い出来になりますし、そのためには全行程が全てリンクするような制作工程になっていることが大切です。『FGO』の世界観とマッチしたグラフィックが作れた時、シナリオがより良いものに見えていると、我々も嬉しく思いますね。

ゲーム全体の
作り方考え方を学べる

ゲーム全体の
作り方、考え方を学べる

先ほどTYPE-MOONさん側から学ぶ点が多いと仰っていましたが、具体的にどういった点でそう感じられましたか?

辻畑:先にも少し触れましたが、まずはしっかりとシナリオを読み解き、そこから必要なデザインの意味/意図を汲み取る能力です。そして、デザイン以外にも体制や考え方といった部分にもアドバイスを頂いており、監修に関しても「なんのためにそれを確認するのか」「目的のためにどういった段取りを取るのか」などしっかり目的意識を持った上で行動する姿勢が勉強になっています。

キャリアという意味では、FGO PROJECTに籍を置くことでどういった道が開けると考えてますか?

辻畑:FGO PROJECTでは、ゲーム全体の作り方、考え方を学べるかと思います。ただしそれは取り組み方によりけりです。各担当者が自身のパートのみを意識するのではなく、ゲーム全体を意識してボトムアップで意見を言うことです。「自分がこれをやりたいからリーダーにして欲しい!」でも良いと思うんです。

自分がやりたいことに理由があって、それに対する明確な答えが出せる人材であれば、『FGO』の世界を作り上げる中心になれるはずです。もちろん『FGOの世界観』をよく理解した上でですけど。

辻畑:また、『FGO』がどのようなシナリオで作られていて、そのために存在するキャラクターのどの部分を大切にしていて、といったクリエイティブの根幹部分を間近で見れますので、こうした経験は新規IPを作る時に“大事にしなければならない部分はどこか”という点で糧になるはずです。こういった考え方を持ったままクリエイトを続けて行けば、いずれ素晴らしい作品を次々に生み出せるようになるのではないかと思っています。

ゲームをプレイしていて、宝具演出など印象的なシーンのクオリティが年々確実に上がっているな、と感じています。
『FGO』のグラフィックを今後どのような方向性に持って行きたいと考えていますか?

辻畑:ありがとうございます。最近ではアニメ業界のキャリアを持つ人材が増えておりますので、さらにアニメ寄りの見せ方をさせて行きたいですね。フルアニメで滑らかに見せることができるならそれも良いのですが、アニメライクな、リミテッドアニメのような絵作りを丁寧に今後も作り上げていきたいと思っています。

また、制作の流れとしてTYPE-MOONさんから絵コンテをいただくのですが、そこから求められるレベルも年々上がってきている印象があります。ただ、現状はこうした表現を全てのキャラクターに対して100%出来ているとは言い難いんです。私の「挑戦」は、主要となるキャラクターのリファインだけに注力するのではなく、全てのキャラクターに対して同様のクオリティを出していくことです。

2020年1月にリニューアルを行ったアルトリア・ペンドラゴン(セイバー)の宝具ムービー。アニメライクな演出が多くなっている

その「挑戦」を実現するために、現在取り組んでいることはありますか?

辻畑:大きな枠組みで言えば、“組織づくり”です。1人のリーダーに集約させて完結させるのではなく、ラインを増やして分散させようと思っています。今はイベントなどの様々なスケジュールがボリュームを増しているので、最低でも2ライン化するなどの工夫は必要です。

ディレクションや各セクションリーダーをイベント毎に組み替えるなど、組織としてタスク分散を進めて行きたいです。TYPE-MOONさんの集団作家性に見習いたい点も非常に多く、クリエイターひとりひとりの作りたいものが明確というチームにしていきたいですね。

最後に、『FGO』開発メンバーとして一緒に働きたい人材を教えて下さい。

辻畑:関わる方の多い巨大なコンテンツですから、自分から壁を作らない人が楽しく働けると思います。意欲が高く、自分自身で考えて改善が出来る方ならなお良いです。ゲームづくりはチームで行いますから、良好なコミュニケーションは絶対に必要です。

ですので、ただ「クリエイティブだけをやりたい!」というだけではなく、『FGO』を作りたい、一個の作品を仲間と一緒に作り上げたいという意識を持った方が向いていると思います。とは言え、クリエイティブなスキルに特化していきたい!という方も、もちろん大歓迎です。

先ほどもありましたが、“組織化”が私の挑戦です。スキルが属人的にならず、しっかりとしたノウハウ共有が出来る方、アウトプットが得意な方は活躍できると思います。

ありがとうございました。

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