技術部マネージャー サイトリライアビリティエンジニア 甲 英明
技術部マネージャー
サイトリライアビリティエンジニア
甲 英明
『FGO』
サービスとしての信頼性を
技術的側面から維持する

『FGO』のサービスとしての信頼性を
技術的側面から維持する

まずは自己紹介と、これまでのキャリアを教えて下さい。

甲:ディライトワークス株式会社 技術部マネージャーの甲と申します。これまではメディア系やエンタメ系、医療系など複数の業界で社内SEやインフラエンジニアとしてキャリアを積み、2017年2月入社時にはインフラエンジニアとして、その後現職となり『FGO』を始めとする各種プロジェクトの技術支援を行っています。

私のいる技術部は複数のプロジェクトにまたがる横断組織で、ゲームプログラム開発および基盤開発の技術研究やツール開発を目的としています。私自身はSREエンジニアとして、現在は『FGO』のサービスとしての信頼性を技術的側面から維持するという役割を担っています。

ゲーム業界へ転職した理由はどういったものでしたでしょうか。

甲:子どもの頃から「いつかゲームの開発に関わってみたい」という気持ちは持ち続けていました。私はちょうどファミコン世代で、一人で没頭できるようなRPGなどを好んで遊んでいました。あとはもとからTYPE-MOON作品も好きで、一通りの作品はプレイしています。特に『Fate』シリーズが好きですが、入社してからはもっとファンになりましたね。

技術部についての概要と、仕事内容を教えて下さい。

甲:技術部のメンバーは20名弱で、インフラやサーバーエンジニア、クライアントエンジニアや基盤技術を俯瞰的に見るチームなどが内部に存在します。技術というのは、プロジェクトごとに最適なものをいかにして選択するかが最も重要です。特定のタイトルだけのための技術ではなく、開発の幅を広げるための技術的選択肢を得る目的で新規技術の検証や開発などを行っています。

技術部でインフラエンジニアとして仕事をしているのは何名在籍していますか。

甲:保守のみを目的とするインフラエンジニア、という意味では0名ですね。私を含むSREエンジニアが2、3名ほどという形です。他のメンバーも10年以上の経歴を持つエンジニアで、それぞれの専門領域を共有しながらSREエンジニアとして技術を高めています。

SREエンジニアとしての仕事内容を教えて頂けますか?

甲:社内SEやインフラエンジニアというと、どちらかと言えば保守のイメージが強いかと思います。もちろんそれだけではありませんが、過去に経験している社内SEやインフラエンジニアというと、求められるものを確実に作り、安定稼働させる部分に重きを置いていました。

一方SREエンジニアは、“守りながら攻める”ことを考えるエンジニアと言えます。新しい技術の検証や自動化、効率化などをもとに将来のスケーラビリティに柔軟に対応していく。自分たちで設計をした上で、常に改善をしていくという課題→改善のサイクルを常に行う業務を行っています。

甲さんは複数の業界での経験が豊富ですが、インフラ整備に関してゲーム業界ならではの特徴はありますか?

甲:規模感が大きいのと、サービスインしたタイミングやイベント開始のタイミングなどでトラフィックが増加する傾向はありますが、“ゲームだから”という理由の苦労はそこまでなかったですね。ディライトワークスには、いい意味での”ベンチャーっぽさ”のようなものは当初から感じていました。「すべてを自分で作り上げていく」というあの感覚です。

自分が良いと思ったものをどんどん提案して、自分で導入できるというのが楽しかったですし、これをプロジェクトとしても会社としても支援してくれる文化があります。

ディライトワークスに入社した当初はどういったお仕事を担当されたのでしょうか。

甲:『FGO』の海外展開の立ち上げに関わっていました。既に多くのユーザーが遊んでいた国内版で培った技術や知識を共有してもらい、北米地域向け英語版についてはインフラ周りを一人で設計・運用していました。世界展開するために必要なことを提案し、自分で構築してローンチまで至ったという経験は自分にとってすごく貴重なものになりました。

それと、サービスインした時に世界中から「待ってたよ!」と喜びの声が聞こえてきまして、すごく嬉しかったですね。数値面で見ると、北米地域向け英語版でしたので北米ですごく盛り上がっていたようでしたが、その後Anime Expoで現地の熱狂ぶりを実際に目の当たりにして驚きました。

AnimeExpoでの『FGO』北米地域向け英語版の1周年を記念した特別イベントの会場の様子。皆総立ちで歓喜している。

『FGO』はユーザー数も非常に多いかと思いますが、具体的にどういったポイントに気を遣いながら改善を行っているのでしょうか。

甲:多くのユーザーが同時ログインした場合でも快適に遊べるように設計を改善していく、というのが基本方針です。以前はユーザー数の増加とともにゲームが重くなるといった状況が発生したこともあり、これを改善するために2018年の初頭から対策チームを作り対応を行いました。トラフィックのキャパシティは毎年改善されておりますが、今年度は根本的な解決を図ったために3、4倍程度の改善結果に繋がっています。

具体的に行ったこととしては、多くのユーザーのデータを効率よく処理するためのデータベース分割およびテーブルの再設計です。従来のテーブル設計ではユーザー数の増加により、テーブルのデータが肥大化し、1台のDBではインデックスがメモリに載らなくなり性能劣化が見受けられました。ユーザーにとってはレスポンスが悪い状況ということです。ユーザーデータが単一のテーブルに格納されることを避け、ユーザー単位で分割を行った結果、パフォーマンスの改善に成功しました。障害も減っています。

トラフィックキャパシティの推移をグラフで表したもの。2018年から劇的に改善している。

大規模な改修になったかと思いますが、どういったスケジュールで行われたのでしょうか。

甲:問題自体は以前から認識しておりましたので、2018年初頭に議題に上げ、2月にチームを発足、その後3ヶ月程度を掛けて検証を行い、データベースの水平分割を7月に行うというスケジュールでした。ちょうど『FGO』 3周年記念のイベントに間に合わせるように進行しました。今回の件はユーザーのレスポンスに直結します。どんな時でもユーザーにとって快適に遊べるということを念頭に設計しています。

ユーザー目線でベストな環境を技術的に探っていくということですね。

甲:ユーザー目線というのはその通りで、そもそも我々自身がユーザーなんです。私もそうですし、社員だけでなく協力会社の方もほとんどの人がユーザーなのではないかと思います。

SREエンジニアとして『FGO』開発に関わることの魅力を教えて下さい。

甲:『FGO』は世界有数の規模をもつコンテンツです。こうした大きなタイトルに関われるということ自体が貴重な経験だと思っています。ユーザーにストレスなく遊んで頂ける環境の整備を、自分が責任を持って見ることが出来るというのは嬉しいことです。ユーザー全員に更に楽しんで頂きたいというのがモチベーションになっています。

ディライトワークスでは「挑戦」がひとつのキーワードですが、甲さんの挑戦とは具体的にどういったものでしょうか。

甲:技術部としては、とにかく新しい技術を1から取り入れて検証を行うというサイクルを作っていきたいと考えています。ゲーム開発はさまざまな技術が組み合わさっており、たくさんのツールがある中で最適なものを選択するのが非常に重要です。

私個人としては、マネージャーとしての立場から、エンジニアそれぞれの個性を活かしながら、チームとしてのパフォーマンスを最大化したいと思っています。今もチームのメンバーと2週間に1回1on1ミーティングを行っておりますが、ここでエンジニアそれぞれが課題と目標をしっかりと定め、個人としてもチームとしても大きく成長できるような環境を作りたいと思っています。

こうした活発な組織づくりに関して心掛けていることを教えて下さい。

甲:私自身は、面白いゲームを創るために取り組んでいる技術を社内外に積極的に発信して行きたいという想いをもっています。技術部としても社外に対しての発信を毎月1回はやっていこうと考えていて、最近もDevelopers Boost~U30エンジニアの登竜門~に若手2人が登壇しました。もともと技術が好きなメンバーばかりですし、こうした目標を掲げることで社内のコミュニケーションも活発になっています。

私たちも外から情報を得ていますし、我々が経験したことがエンジニアやユーザーの方々の役に立つのであれば、積極的にアウトプットをしたいと思っています。おかげで社内勉強会や社内LTも盛んになっていて、良い雰囲気に繋がっていると思います。

Developers Boost登壇時の様子。同社主催の肉会など、社内外に対して積極的に情報発信を行っている。
「肉会(MEAT MEETUP)」とは、同社の仕事に興味を持った社会人を対象に、情報交換や交流、キャリアの相談が行えるイベント。毎月1回開催中。

最後に、甲さん自身がFGOスタジオで一緒に働きたいと思える人材を教えて下さい。

甲:周りに良い刺激を与えてくれる方と一緒に働きたい、と思っています。技術部は特に課題解決のために時間を割くことも多いのですが、一緒に考えて解決に導いていけるような人たちと働きたいですね。あとは、技術に対して真摯に向き合って、より深く技術を追い求められる人であれば良いと思っています。今持っているスキルがどうこう、というよりは私たちと同じような考え方をもっていて、同じ方向を向ける人に来て頂きたいです。全員が同じ方向を向いていれば、あとは個々人がそれぞれスキルを高め合うことで組織としても力強く前に進んでいくことができるはずです。

ありがとうございました。

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