

皆さま、こんにちは。
ディライトワークスの広報担当Iです。
前回「社内向け動画配信~やってみた編~」に引き続き、リモートワークが中心となったディライトワークスで、社員間のコミュニケーション活性化のために実施した社内向け動画ライブ配信「COMPASS Live Fresh」についてご紹介します。後編となる今回は、「配信環境編」と題してツールや機材など、動画配信を行うための環境を公開します。
リモートワーク前には、リアルタイムかつ毎日、動画を配信するというシチュエーションはなく、あらゆることが初めての経験でした。そのため、使用するアプリケーションやWebサービス、機材など、すべて実行しながら手探りでアップデートを繰り返していくという運用でした。
■第1段階:ビデオ会議ツールで試行錯誤
ディライトワークスでは、業務でSlackやGoogle Meetを使用しています。「COMPASS Live Fresh」を始めたころは、スピード感を重視しすぐに使えるこの2つのサービスを組み合わせて実施しました。
新入社員は、自身が業務で使用するノートPCのインカメラと内蔵マイクを使ってGoogle Meetの「会議」に参加することで、番組に出演しました。社内への配信には、その「会議」の模様をGoogle Meetのストリーミング機能を使い、また感想や質問などのコメントは、Slackに作成した専用チャンネルに投稿してもらいました。
▲PC用に台を用意し、カメラ位置の調整などもおこないました
配信開始から数回目で、ボードゲームをプレイする様子を配信するという企画を立てたのですが、この場合、ノートPCのインカメラではテーブルの上に置かれたゲームのコンポーネントと、それをプレイする新入社員の様子をうまく映せないということから、Google Meetにログインしたスマートフォンのカメラを使用しました。カメラを自由に動かすことができるというメリットがある反面、手ブレによって映像が乱れ映像酔いする人がでたり、マイクの位置の影響からか音声をうまく拾えなかったりという問題が発生しました。手ブレ問題については、スマートフォン用のジンバル(ブレや揺れを抑えてスムーズな撮影を可能する機材)を使うことで解決できたものの、音声問題の解決には至らず、スマートフォンのカメラを使っての配信は、数回のみで終了しました。
▲スマートフォンの仕様の関係で外付けマイクもうまく機能しませんでした
最初の1週間は、このような形式でなんとか配信を続け、いろいろと改善できる点を探っていきました。
■第2段階:課題解決Try & Error
1週間の配信を通じて、いくつかの課題が浮きぼりになりました。
→視聴者がSlackに書き込んだコメントに対してリアルタイムな反応ができない
そのため、2週目以降は、その課題を解決するための試みを実施していきました。
・PC内蔵のマイクだと、聞き取りにくい
この問題については、外付けのマイクを導入することである程度解決しました。当時、多くの会社がリモートワークに移行した時期でもあり、マイクの在庫不足問題にも直面しましたが、どうにか計3台のUSBマイクを導入することができ、音質は大きく改善されました。
それでも空調の音をマイクが拾ってしまうという課題が残りました。
・ストリーミングにはタイル表示がなく、一人しか画面に表示されない
初期の方法では、話を聞いている側の映像が見えず、対話しているように見えないという課題がありました。こちらについては2つの解決方法を試しました。
1つ目の方法は、事務局PCを用意し、そのPCで2つの異なるGoogle Meetの「会議」を立ち上げるという方法です。ひとつが出演者との「会議」、もうひとつが配信用の「会議」です。出演者がでている「会議」の模様を、Google Meetの画面共有機能を使って配信用「会議」に表示し、配信用の「会議」をストリーミングで配信する方法です。この方法では、事務局PCに高い負荷がかかるものの、番組画面を視聴者に配信することができました。
▲「画面共有」で配信した時の画面
もう1つの方法は、視聴者全員が、Google Meetに参加するというものです。この方法であれば、タイムラグ問題と合わせて、問題が解消されました。ただし、「視聴者がマイクをミュートにする設定をし忘れると音声を拾ってしまう」「出演者のみを表示するためには視聴者自らが表示レイアウトを変更する必要がある」という、視聴者側に対応してもらわないとならない課題も残りました。
最終的には、この2つの方法を組み合わせた「配信用の会議に視聴者全員が参加し、番組を画面共有で映す」という方法を取りました。これにより、リアルタイム性と、出演者全員の様子を映像で見せる、という課題を同時に解決することができました。
・ストリーミング機能だとタイムラグが発生する
ストリーミングで配信される映像が、視聴者に届くまでには1分弱のタイムラグがありました。そのため、視聴者からのコメントが表示されたとき、出演者はすでに別の話題に移っており、コメントと内容がうまく噛み合わない・・・という事態がたびたび起こりました。「COMPASS Live Fresh」を行う1番の目的は、社内コミュニケーションの活性化。届いたコメントに反応していくことは、視聴者の番組参加につながるため、とても重視しているポイントでした。
この課題は、いったんは先程のライブストリーミング機能を使わず、視聴者もGoogle Meetの「会議」に参加するという方法で解決しました。「会議」であれば、視聴者も出演者が話すのと同じタイミングで映像が見れるため、コメントにリアルタイム性がうまれました。
■第3段階:新ガジェット導入でバージョンアップ
3週目以降は、2週目以降も残った課題の解決や、番組としてのクオリティ向上を図っていきました。
番組のクオリティや満足度を高めるため、放送中の視聴者とのコミュニケーションをいかに円滑にし、一体感を生み出せる映像とするかを考えました。また、継続的に視聴してもらうためには、画面構成に“面白さ”が大事だと考え、いろいろとアイデアを探していました。
そんなとき、「株式会社リノベる」さんのオンライン社員総会に関するブログを拝見し、画面上にコメントやスタンプを投稿できる「Comment screen」というサービスを知り、「COMPASS Live Fresh」にも早速導入してみました。
配信している画面上にコメントが表示されるようになったため、出演者もコメントに反応しやすくなり、さらに、スタンプ機能を使って視聴者がカジュアルに反応でき、より一体感がある番組になりました。
▲コメント、スタンプ機能で画面もさらににぎやかに
なお、「Comment screen」の導入も一筋縄ではいかなかったのですが、先程の「配信用の会議に視聴者全員が参加し、番組を画面共有で映す」という方法に、「OBS」という配信用のソフトを経由する、という力技で解決しました。
ただ、この方法をとることで、PCに大きな負荷がかかり、映像が乱れてしまうという問題が発生しました。映像配信も「Comment screen」によるコメント表示のどちらも、配信用の事務局PC(=私が業務に使用しているノートPC)で処理していたため、限界があったのです。
▲事務局PCに負荷が集中
その問題を解決するため、新たに「ATEM Mini」というHDMIの映像をPCに取り込むための機材を導入しました。これにより、配信を行うPCと番組映像用の「会議」や「Comment screen」を処理するPCを分けることができ、それぞれのPCにかかる負荷を分散することができました。
▲事務局PCを2台とし、負荷を分散させることに成功
また、「ATEM Mini」の導入により番組内容の幅を広げることもできました。その一つがゲームプレイ動画の配信です。複数のソースから入力した映像を切り替えたり、重ね合わせたりして配信できるため、いままでできなかった画作りに取り組むことができました。例えば、ゲーム機から取り込んだ映像を大きく表示しながら、ビデオカメラで撮影したプレイヤーの様子を小さな窓(ワイプ)で表示させるなど、まるでテレビのバラエティ番組のような臨場感のある映像が実現しましたを。
ビデオカメラの映像を取り込むことができるようになったことで、番組を収録する環境にも変化がありました。これまではノートPCのインカメラを使用していたため、出演者はノートPCに向かいあう必要がありましたが、外付けのカメラを使用できるようになり、より自由度の高いレイアウトで番組を収録することが可能となりました。
▲外付けマイクも使い、自然な雰囲気で会話ができるように配慮
インタビューする新入社員も、実際に顔をみながら話すことができるため、話しやすく、リラックスした雰囲気の収録となりました。
1ヶ月にわたる、社内向け動画生配信を行い、多くの知見を得ることができ、様々なノウハウを蓄積することができました。
参加した広報メンバーも、最初はほとんど動画生配信の経験がなかったため、インターネット上で公開されている事例を探したり、実際にツールに触れて試してみたり、と、できることから手探りで取り組んでいきました。今回は、社外のお客さま向けではなく、社員に向けた配信であったため、専門会社に頼んだり、時間をかけて検証した完璧な設備で配信するのではなく、「まずは自分たちでチャレンジしてみる」、「走りながら直していく」というスタンスで挑めたことが大きかったと感じています。
この「COMPASS Live Fresh」で、コミュニケーション、技術の両面で多くの気づきが得られました。ディライトワークスのメンバーは、今後もリモートワークを継続しながら、「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」という理念のもとゲーム制作を続けていきます。私たち広報の取り組みも、その一助になれればと思います。